令和4年10月21日 創立50周年記念式典式辞

令和4年10月21日(金)に挙行した創立50周年記念式典における校長式辞を掲載します。


式辞 

 本日ここに、多くの皆様のご臨席の下、府中市立若松小学校創立50周年記念式典をこのように盛大に挙行できますことは、誠に光栄であり、慶賀の至りです。府中市長 高野律雄様、府中市議会議長 村崎 啓二様、歴代の校長先生方をはじめ、ご来賓の皆様にはご多用中に関わらずご光臨賜りましたこと、厚く御礼申し上げます。また、府中市教育長 酒井泰様をはじめ府中市教育委員会の皆様には、本日の式典開催に向け、並々ならご支援を賜りました。この場を借りて、御礼申し上げます。

 本校、府中市立若松小学校は、昭和47年に、新校舎が建設される中、プレハブ教室に二小、六小、十小の児童を受け入れ、十一学級、353名で、その歩みをスタートしました。当時は、掃除用具も十分ではなく、初代校長の岡部邦三郎先生が近隣の方からバケツを借りてきて掃除されていたそうです。その姿に感激された保護者の皆様が、掃除用具を持ち寄り、学校中をきれいにしたというエピソードが残っています。開校当時から、保護者や地域の皆様に温かく支えられてきた本校も、平成30年には児童数が720名と最大になりましたが、これまでに4,300名を超える卒業生を輩出し、20学級639名で、本日を迎えています。

 さて、「予測が困難な時代」という言葉を耳にするようになったのは、今から10年ほど前になります。私たち学校がよりどころにする学習指導要領でも、平成29年の告示時点で、今、この場にいる6年生の子どもたちが成人して社会で活躍する頃を「予測が困難な時代」と示しています。

 しかし、私たちは、当初予定していた頃より10年近く早く、新型コロナウイルス感染症という脅威の出現により、「予測が困難な時代」を迎えることになりました。最初に日本で感染の報告があってから2年以上の間、私たちは、直面する様々な脅威やそれに伴う変化を柔軟に受け止め、今できることを最大限に行いながら、日々の歩みを進めてきました。

 「予測が困難な時代」を乗り越えるために必要なことは、私たち一人ひとりが主体的な社会の担い手として問題に向き合い、柔軟に受け止め、大人も子どもも関係なく、一人ひとりができることに全力で取り組むことが必要であるといわれています。

 しかし、私たちは、大人と子どもの違いだけでなく、それぞれに得意なことや苦手なことがちがうことから、一人ひとりの違い、つまり「多様性」を原動力としながら、仲間や他者と協力してお互いを補い、高め合うことが肝要であるともいわれています。だからこそ、学校教育では、それぞれの子どもたちの良さを伸ばすことはもちろん、苦手なことや障害などによる困難を理由に何かを諦めてしまうことなく克服できるようにしていくことが必要であると考えています。

 現在、本校では、「子どもの『学びたい』をはぐくみ、かなえる若松小―すべての関係者の主体性により実現する―」を教育理念として、日々の教育活動の見直しと、充実に取り組んでいます。具体的には、研究機関や民間企業の支援をいただきながら、GIGAスクール構想により一人1台配備されたタブレット端末を用いるなどして、子どもたちが自分に合った学習の方法を選択するなど、一人ひとりの状況に合わせた個別最適な学びの実現に取り組んでいます。

 そのためにも、子どもたちが、自分と他者との違いを受け入れられるようにするための教育として、行政や地域の皆様のご協力の下、手話から学ぶ「手話授業」や、パラアスリートとの交流による障害者理解教育なども進めています。

 また、子どもたちの社会の担い手になろうとする意識を醸成するためにも、様々な取組の中で、「予測が困難な時代」においても諦めずに何かを成し遂げようとする大人の本気の姿を子どもたちに見せ、伝えることも大切にしています。

 その最たるものが、全学年で実施する「本物授業」や、本年6月に、本日もご臨席いただいているスクールコミュニティ協議会の皆様を中心として、ここにいる6年生の子どもたちとともに実現した「若松小防災キャンプ」です。昨年度セカンドスクールに行くことができなかった子どもたちのために、大人たちが本気を出して実現した取組みと言えます。

 今、こうして、本校の子どもたちが日々の活動を進めていられるのも、これまでの50年間、今と同じように、本校に関わる多くの大人たちが熱い思いをもち、子どもたちのために日々考え、温かい目で見守り、手を携えながら、本気で取組を進めてこられました成果であると感じています。

 今後も、若松小のこの暖かさを保つことができるよう、教職員一人一人が主体となり、一人一人の子どもたちの未来のために歩み続けていく所存です。

 ご来賓並び、保護者・地域の皆様、関係者の皆様には、これまでと変わらぬ愛情と温かさをもって、共に歩んでくださるよう、今後とも私たちへの一層のご指導、ご鞭撻のほどをお願い申し上げて私の式辞とさせていただきます。

 本日は、誠にありがとうございます。

 

令和4年10月21日

府中市立若松小学校長 小林 力